進化した5Gインフラ向け高多層プリント基板製造プロセス

2017年3月20日

March 21, 2017

厚さ4 mmを超える高多層プリント基板 (PCB)は、銅めっき業界にチャンスと課題の両方をもたらします。高多層プリント基板の市場はニッチですが年間3~4%の成長が予測される成長市場で市場規模は10億ドルあり、チャンスと言えます。主な最終用途は通信向けであり、5Gインフラの成長とともに2020年までに劇的に需要が伸びると見られます。ファーウェイは、2月にバルセロナで開かれたMWC 2017において、業界初の5Gネットワーク・スライシング・ルーターを発表しました。また、クアルコムは2018年に5Gサービス向けの商業用チップを発売する計画を発表し、競合他社も後に続くと見られます。こうした成長は、医療、軍事、および航空用途向けと併せて高多層プリント基板の需要に拍車をかけるでしょう。

高多層プリント基板のめっきに関する技術的課題は、スルーホールの高アスペクト比 (AR)にまつわるものです。直流(DC)めっきは、スルーホールとブラインドビアの両方を均一にめっきするための業界標準の単一めっきプロセスであり、細線イメージパターンを形成します。このプロセスは比較的低コストですが、アスペクト比が約14を超えるとうまく処理できません。通常、バックパネルとハイエンドラインカードは4~6 mm厚で、直径0.25 mmのスルーホールがあり、アスペクト比は15~25になります。さらに高アスペクト比の基板も製造されています。

業界が直流めっきに代わるめっきプロセスを必要としていることは明らかです。PPR(周期的逆電解)めっきは、基板の電位がフォワード(陰極)とリバース(陽極)で切り替わるプロセスであり、解決策となる可能性があります。複数のサプライヤーが、PPRめっきを提供しています。問題は、既存のほとんどのPPRプロセスが十分なスローイングパワー(TP )を 得られていないことです。薬品の化学的能力だけでは高アスペクト比スルーホールの厳しいめっき要件を満たすことができていないのです。スローイングパワーはめっき浴の老化により低下する傾向を示すため、問題をさらに複雑化させます。

こうした技術的課題は、解決策をもつサプライヤーにはチャンスをもたらします。ダウは、PPR-IIとして知られているPPR用にさらに改良されためっき薬品を導入することにより、業界をリードしています。ダウのCOPPER GLEAM™ PPR-II硫酸銅めっき添加剤は、高アスペクト比のスルーホールがある高多層プリント基板向けのワンステップめっきプロセスとして特別に設計されています。スルーホール、ブラインドビア、および細線パターンに高い信頼性で銅めっきを施すことができ、バッチ式および垂直連続搬送式めっき (VCP)装置の両方に対応しています。


図1:スルーホール、ブラインドビア、および細線表面パターンへのPPR-II銅めっき

プリント基板メーカーはこのめっき薬品により、不安定な浴状態や浴寿命が短いといったデメリットなしに、改されたスローイングパワーと高い生産能力をもつPPRプロセスを利用することができます。スローイングパワーは、ホール内壁と基板表面のめっき厚の比率として示され、スルーホールめっきの性能とコストを決定する重要な指標になります。高スローイングパワーはホール内壁の必要最小限の銅膜厚(通常は20~25μm)を達成する事で信頼性を向上させます。より高いスローイングパワーは、基板表面にめっきされる銅膜厚が薄くなる事を意味し、めっき時間とコストが削減され、表面への微細パターンの形成が可能となります。

現在評価用に入手できる最も厚い8 mm厚までのプリント基板に対して、PPR-IIプロセスの高スローイングパワーは実証されています。PPR-IIめっき浴は、老化浴と新建浴でめっき処理を比較した際も性能を低下させることなく300 AH/Lを超える素晴らしい浴寿命を示しました。PPR-IIプロセスは製品の総生産量に応じて年に1~2回だけめっき浴をメンテナンスする必要がありますが、既存のほとんどのPPRプロセスでは遥かに頻繁なメンテナンスを必要とします。この差はコストと時間の大幅な削減につながり、プロセスの効率を大幅に改善します。


図2:PPR-IIの浴寿命の安定性-直径0.25 mmのスルーホールがある3.2 mm厚の基板に対する一定したスローイングパワー

特にアジアにおいて、一部のプリント基板メーカーは1日24時間、週7日間めっきラインを稼働していますが、こうしたスケジュールはどこでも標準となっているわけではありません。週末および祝祭日に休業している工場は、1日かそれ以上の休止後にめっきプロセスを再開するために時間を無駄にせざるを得ません。多くの既存のPPRプロセスと異なり、PPR-IIプロセスは休止期間が2週間まで延びても再稼動時にスローイングパワーが低下しません。そのため再稼動後のめっき浴でダミーめっきを行う必要が抑えられ、時間と資材を節約することができます。


図3: PPR-II(200AH/L)めっき浴の休止-2日間および13日間の休止後に実証された一定したスローイングパワー

典型的なPPR めっき薬品と比較して、PPR-IIめっき浴がコスト削減に寄与する複数の要因:

  1. 浴寿命全体に亘りプロセスが一定しているため、安定しためっき品質と歩留まりを提供します。
  2. 休止後にダミーめっきを行うことなく、めっき生産を再開できます。
  3. 250AH/Lの浴寿命は、めっき浴の再建浴の頻度を減らし、時間の節約、薬品の消費量を減少させ、使用済みの銅めっき浴の廃棄量を削減します。
  4. 活性炭処理なしで、高品質のめっきが可能です。
  5. プロセスの安定性は、めっき品質のトラブルシューティングに費やす時間を最小限に抑えます。

PPR-IIプロセスは、アスペクト比が16を超える高多層プリント基板において安定した信頼性と高いスローイングパワーを示し、そのような基板が持つ課題を解決します。

プリント基板メーカーは技術的課題に取り組むことにより、信頼性のある銅スルーホールを備えた高多層基板を供給するチャンスを最大限に活かして、成長する5G電気通信市場を支えることができます。

ダウ・エレクトロニック・マテリアルズ
ロバート・パン
マーケティング・アナリスト、インターコネクト・テクノロジーズ
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